2014年1月28日 タイ・バンコク建築ツアー
昨晩はタイの建築家たちとチャオプラヤ川を臨むバーで楽しい交流会でした。その翌朝9時に集合でしたが、昨晩深夜までの痛飲もなんのその。全員爽やかな顔で時間通りの集合、活気溢れるタイが私たちに元気を注ぎ込んでくれてるみたいでした。さて、本日はマイケル教授(モンクット工科大学)のアテンドで今日は4つのタイの建築を見学します。
まずは向かうは「フォレスティ」。
バンコク郊外に建設中の785,000m2の住宅地開発プロジェクト。プロジェクトはタイの開発会社MQDCとイギリスのフォスターアンドパートナーズなどが中心となり、その名の通り生物多様性を備えた森林を中心に据え、その森の中に点在するように低層住宅、また数棟の高層棟が屹立する構成の宅地開発です。そのコンセプトを表現しつつ、住宅展示場的な役割を果たすのが羽を閉じた黄金色の蝶のような形態のフォスターによる「パヴィリオン」です。
生態学や心理学に基づくウェルビーイングな環境創生を表現したメディアアートを体感し、様々なタイプの住戸プラン(廉価なものからメゾネットタイプ、または医療態勢が整った高齢者用など)を見学しました。タイで現在進行形のニュータウン計画を垣間見ることができました。
施設内を自動でお掃除する(同時に監視カメラでもあるのだろう)ロボットとすれ違いましたが、まさに最先端という感じでした。
続いて向かうのは「バーンソムタム」。先ほどの超巨大なプロジェクトとうってかわって、平屋の可愛らしい料理店です。
可愛らしいと言いながら、タイで新進気鋭の建築家SUPAR STUDIOが手がけた、人気タイ料理店「Baan som tam」の旗艦店とのこと。スリムな鉄骨柱と軽快な屋根がゆるく螺旋を描くように連なり、連続する屋根の下にはレストラン棟とカフェ棟の2つの建築が並置し、さらに縁側のような空間が取り巻いていく。プライウッドの素朴でありながら現代的な、流動的な空間でいただく料理やカフェは最高である。
圧巻はランドスケープで、幹線道路沿いという立地にありながら、高木とこんもりとした生垣でバッファをつくることで静けさのある環境をつくりだしています。またそのデザインもシンプルでありながら多様性を含んでおり、秀逸なランドスケープでした。料理と建築に舌鼓を打つひと時を過ごしました。
次に向かうは食後のコーヒー、ということでタイのサードウェーブコーヒー「Nana coffee」へ。
その建築は、タイの建築家チームIDIN(アイディーン)が手がけています。既存の家屋をリノベーションし、さらにその家型を延長するように3つの増築棟を連結させた構成。さらにそれらを包むようにランドスケープをデザインし、緑の中を歩いているといつの間にかコーヒーショップに入り、そしてまた緑の中に立ちかえる、そんな体験ができる空間です。
最後は「タイ・クリエイティブデザインセンター(TCDC)」。築70年以上の郵便局をタイの建築家チーム「Department of ARCHITECTURE」がリノベーション。タイの最先端のデザインに触れることができる施設です。この時のタイは「デザインウィーク2024」で盛り上がっており、TCDCはその中心的スポットでもあります。
マテリアル、プロダクト、グラフィック、建築や家具、様々なタイ発のデザインが展示されており、そのどれもがハイレベルで目を見張るものがあります。デザイン教育から始まりアウトプットする市場までをしっかりと整えているタイの現状が浮き彫りになっています。数年後にはデザイン先進国になっていることでしょう。
と、建築を通じて様々な表情のタイ・バンコクを見る怒涛のツアーはこれで終了。建築やデザインの分野において、現時点で日本がタイよりリードしているのは確かです。しかしここ数年間でタイのデザイン力は急激にアップしているようです。そんなタイの情熱と勢いを目の当たりにして、我々は次に何を為すべきなのか。様々な宿題を抱えて帰国の途につくことになりました。建築から多くを学び、おいしいタイ料理を堪能し、様々な文化交流が果たせたバンコクでした。
多田正治アトリエ 多田正治(多田正治アトリエ)
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